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recipe 在るがまま


オレはそう感じるのだが
実際のとこ妻はどうなんだろう
帰宅して僅かな疑問を妻に尋ねた
単純な事だが
子供がもっと欲しいと想うかとか
家族は大勢の方がいいかとか
妻は耳を傾けた後に
質問に対して質問で応えた
アナタはどう想うの?
少しだけ間を置いて応えた
大勢は苦手だ
知ってるわ
私もそうだもの
無理をしなくていいのよ
在るがままに生きればね
世間になど合わそうとせずにね
諭すような口調で妻は語りかけた
そうか
それならいいんだ
オレは少ない家族で育ったから
それでいいんだが
お前はどうなんだろうと想ってな
それは私も同じよ
最初に出会った時言ったでしょう
そうだったな
ねえそれより千鶴も寝た事だし
潤んだ瞳で妻の柔らかな手が触れ
濡れた唇が纏わり付いてきた
妻の中で幾度も果てて
妻のほてった身体を
抱いてる時に
在るがままに生きれば
妻の言葉が頭の中で繰り返された
他人の生き方を模倣しても
出来るものじゃない
自分の生き方しかできないのだから
今の生活は気に要ってる
この生き方を続ければいいだけだ
この生活しか出来ないのも現状だが
これが自分の在るがままだ
妻の肌からは温もりが伝わってくる
幸福ってやつは
他人の温もりが在って感じる事が出来るのかもしれない
妻の肌と幸福感を感じながら眠りに落ちた
在るがままに生きれば
妻とそんな話しをしてから3年が過ぎた
千鶴は散歩にも付いてくるし
妻の家事の手伝いも出来るようになった
簡単な読み書きも出来る
集落の人に名前を尋ねられれば
千鶴ですと応えられる
妻との仲は相変わらずで狩猟にも時々一緒に出掛ける
その時は決まって獲物が手に入る
妻が言うには山の神が味方してくれるからだそうだ
狩猟の仲間が言うには腕が上がったのと
運を妻が運んでくれてる
どちらの言い分も当たってるのだろう
散り始めた桜の花が風に舞う頃に
集落に少しだけ変化が起きた
コウジと言う男が集落に戻ってきた
この集落で生まれた男で年の頃は40過ぎで
20代まで此処に居たが
粗暴で賭け事の好きな男で
集落のあちこちでトラブルを起こしていて
誰にも相手にされないようになり
居辛くなり在る日出て行って
それっきりだった
帰って来たコウジはとても高そうな衣類を身に着けていて
従者5人と馬2頭を従えていた
コウジは集落の集会所の前で集まった人達に
若気の至りで此処に居た時は随分と迷惑をかけた
今はそれなりに成功して余裕も出来たので
その恩返しも兼ねて生まれ育った此処に帰ってきた
そう挨拶をして
馬に積んである荷物の中から
土産だから受け取って欲しいと
酒や食べ物そして衣服を振るまった
集まった人々は最初警戒していたが
一人が品物を受け取ると
後はもう雪崩のように誰もが手を出した
好奇心と興奮が渦を巻いて
誰もが飲み込まれた
それをコウジと従者は微笑みを湛えながら
静かに見つめていた
狭い集落の中で噂はすぐに耳に入り
夕飯の時に妻にその事を語った
妻はその一部始終を少し離れた場所から
静佇してたとの事だった
欲しいと想わなかったのか?の問いかけに妻は
祭り事は嫌いなのよの一言だった

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天海 彩

私、在るがままに生きてきたら、人様からは
羨ましいと言われますが、本人としたら
戻れない獣道です。^^

って、先週のコメント消えちゃってますね。
なんでやろ><
by 天海 彩 (2014-07-20 09:42) 

kenji0y

天海 彩さん

戻れなくても
前に進めるだけ
マシかももおおお。。。。

で消えてるんですね
それはですね
ネットの広い海で文字が迷子になったんですよ (= ̄ω ̄=)ノ〇


by kenji0y (2014-07-20 22:20) 

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