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recipe 狩り


その日から女との暮らしが始まり
家事や料理は女が全てするようになった
それがとても自然な日常のように
以前からずっと続いてる暮らしのように
女はとても滑らかに生活の中に融け込んでいった
眼を覚ました時には女の肌があり
眠りに着く時にも女の肌がある
それが日常で在る事に変化した
女と暮らし始めた事は集落の人々にすぐに知れた
最初は突然に現れた女の事を不審に感じてるものも居たが
男に対する献身的な女の態度や
2人の幸福そうな暮らしぶりから
その想いは消えていった
同居を始めて半年も経った初夏を迎える頃
籍を入れて2人は夫婦になった
このままでもいいけど
男の腕枕の中で女は小さく呟いた後に妻の座を男に望んだ結果だった
男もそろそろそんな話しをすべきかなとは想ってはいたが
口に出せずに居た
シリアスは話しではないが
重要な話しは切りだすタイミングが難しい
それを先伸ばしにしていた
夫婦になって何かが眼に見えて変わった訳ではなかった
同じような日常が続く
僅かな違いは
少しだけ関係性に根が這ったような感じがした
2人自由に咲く花だったのが
樹に変化した
これから沢山の枝を着け
花を咲かせ
伸びて行く樹になるのだろう
朽ち果てるまで
夏も過ぎ
足早の秋が行き
夫婦になって初めての冬は
豪雪だった
男は山に猟に出るのだが
獲物を見つけられず手ぶらで
帰る日々が続いた
猟で獲物を持ち帰る事が出来なければ
収入は入らない
貯は在るのだがこの状態が延々と続けば
それも何時かは食い潰す
雪深い山の中では他に変わる収入源もない
狩りに頼るしかない
落胆の色が日々濃くなって行く男に
妻となった女が
夕食の後声を掛けた
明日は私が一緒に狩りに行きましょうと
男は何を言いだすかと想ったが
雪に埋もれた家の中で只管待ち続ける
日々を送る妻も辛い想いをしてるのではないかと考え
気分を変えるのにもいいのかもしれないと想い
妻の提案を受け入れた
奥深い山の中に入らなければ危険はないだろう
そう考えた時に
あの小屋の中で出あった雪女の事を想いだした
約束は破るなよ
約束は破るなよ
言葉が頭の中で繰り返される
鳥肌が身体に走る
あの場所にだけは今でも近づかない
翌日早いめの朝食を取り
2人は狩りに出た
灰色の曇り空からは粉雪が静かに降っていた
男は妻の事も考え無難なルートで山に入った
膝まで雪に埋もれる道を歩きながら
幾度か降り返るが
妻は慣れた足取りで後ろからぴたりと付いて来る
雪山の猟で鍛えた足腰だと自身があったのだが
妻はそれを遥かに凌駕する足取りだった
意外な妻の長所を見たようで
男は驚きもあったが
それより単純な喜びが大きかった

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天海 彩

男は基本、気を許すのが早く、
女は愛情があって傍に居るのだとは限らない事を
知らない男は幸せだと思います。^^
by 天海 彩 (2014-06-23 21:01) 

kenji0y

天海 彩さん

それはですね
知りたくないから
見ようとしないんですよ

もしくは
愛情はエンドレスです
なんて幻想と
愛情は生ものです
と言う現実の区別が
付かないかの何れかです (= ̄ω ̄=)ノ〇

by kenji0y (2014-06-23 23:39) 

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