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recipe 女同志


女は雑炊と浅漬けそれにかんずりを
全て胃の中に納めた
お腹も空いていたのだが
残すとせっかく作って頂いたのに
申し訳ないと男に伝え
食事が終わった女にお茶を入れ
少しばかりの他愛もない世間話の後に
女が自らの事を語りだした
生まれは西の地方の生まれで
名前は雪子
生まれた12月の日の朝
産声をあげた時に雪が降り始めたので
雪子と名が付けられた
男は名前をまだ聴いてなかったのだと気が付き
自分の名前はタカオだと名乗った
女はタカオさんねと言葉を零し
話しを続けた
家は小さいながらも老舗の呉服屋
両親の他に使用人や祖母が同居してる家で
子供の頃から両親が仕事で忙しく
主に遊んでくれたり何かと構ってくれたてたのは祖母だった
本を読んで聴かせてくれたり
祭りに連れて行ってくれたりしてた
花の好きな人で
生け花も祖母から習った
何かと優しく気をかけてくれる人だったが
14才の時に祖母は他界し
その3年後に母親も
17から19までは家の事は使用人と分担してやっていたが
20前の在る日父親が見た事もない女を連れてきて
彼女が今日からお前の母親になると言われた
その女は私より10才程年上の女だった
他界した母親よりは10才程若い女だった
顔を見た瞬間に合わない女だと解った
相手の女も同じ想いだっただろうけど
何食わぬ顔で
あなたが娘さんの雪子さんね
初めまして
仲良くやって行きましょうね
と微笑んでいたが眼は笑っていなかった
瞳の奥からじっと私を覗き込んでいた
女が挨拶を済ませ
家に住むようになって一月もしない内に
仲良くしましょうねは
裏返しの言葉で
仲良く出来ないの意味だった事が
あからさまになって来て
些細な事で諍いを起こす日々が始まった
女のやり方は巧妙で
怒りや憎しみそして落胆が
起爆するように
静かにセットしたり
転がしたり
日常の中に隠していた
私がそれに触れて
矛先を女に向けると
冷笑を浴びせ
神経質なのねとか
お疲れね
等と小馬鹿にした態度をとり続けた
私には冷淡な態度や冷やかな敵意を向けていたが
使用人や顧客には笑みを絶やさず
気を使っていた
立ち周りの上手さを心得ている女だった
父親に相談したが
そのうち慣れるだろうと
他人同時だから最初は上手くいかないものだと
いがみ合う女同士の根の深みを軽く見ていた
同じ船に船頭が二人居ればその事自体が問題で
一人が船から降りれれば解決する
1年ほど同居を続けたが
事情を父親にも理解して貰えず
周りからも私が一方的にその女を邪険にして居るように想われ
孤立は深まっていった
悔しいとは想ったが
私から船を降りる事に決め
自分の居場所を求める為に旅に出た
別の場所で生きる為に

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天海 彩

そうよねぇ、そうでしょうよねぇ、そうなるでしょうよねぇ。
ったく男ってさぁ。ねぇ? ^^
by 天海 彩 (2014-06-02 16:38) 

kenji0y

天海 彩さん

男の幻想と
女の現実の間には
大きな溝が。。
いや
それはあまりにも深すぎて
海ですわ

が 在るのですよ (= ̄ω ̄=)ノ〇


by kenji0y (2014-06-02 22:57) 

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